『ノルウェイの森』 楽しむというより、味わう。そんな美しい映画だ。(ニンゲンとして)
爽快、ハラハラ、感動、泣ける!というものを少なくとも期待して
観にゆけば、それはきっと場内が明るくなり前列の女の子が吐いた
一言に尽きるんだと思う。
「つまらなかった」
そうかもしれないね、と思った。
少なくとも宇宙戦艦の映画を観ていれば彼女的にそんな事は
なかったかもしれないよね。(おおきなお世話だ)
もし松山ケンイチさんが出ていて話題だから、それでいて爽やかな
恋愛映画、込み上げる思いが胸にくるぅ〜。で、あろうと期待を
していたならば多分「えっ何か違う」となるのかなと思うな。
おそらくだけど、原作を読み自分の頭の中で想像する貴方の中の
世界の方が遥かに美しく壮大な物語になると僕は思う。
携帯電話が当たり前である今現在の物語ではないし、
かといって今みたいに何でもかんでもファストフード化
してはいないし、人が人を思う気持ちや今(その時代)を
生きる・営むという思いが長けていたのではないだろうかと、
その時代を生きていない僕は感じてしまう。
もちろん戦争だってイジメだって、自殺だって病や汚染や公害
問題と色々あったであろうし、どの時代に生まれたって若葉は、
若葉なりに悶々するんだわね。
好きなのに、思考と感情が複雑に絡み合ってしまったり、
愛してるのに、哀しくてやりきれなくて悲しみぬいたりする。
恋と違って愛にはどす黒いものがあるように思うし、自分の
モノサシだけで計ることの出来ない愛も存在してしまう。
美しいという言葉が綺麗さや整っていたり洗練されたものだけのみに
使われていたならばきっと芸術や音楽、建築、もしかしたら人と人の
繋がりさえも変わっていたかもしれないのですね。
目には見えなくて、だけれども芽生えてくる。
哀しみも、つまりは